スティックの持ち方 〜4種類のグリップについて〜

スティックの持ち方 〜4種類のグリップについて〜

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スティックの持ち方 〜4種類のグリップについて〜

 

 

スティックの持ち方は、左右で持ち方が異なる『トラディショナル・グリップ』と左右対称の『マッチド・グリップ』に分けられます。
また、マッチド・グリップをさらに細かく分けると、『フレンチ・グリップ』、『ジャーマン・グリップ』、『アメリカン・グリップ』に分類されます。

 

ここでは、この4つスティックの持ち方(グリップ)について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを踏まえながら詳しく解説したいと思います。


4種類のスティックの持ち方(グリップ)

 

トラディショナル・グリップ | スティックの持ち方

トラディショナル・グリップ

 

『レギュラー・グリップ』とも呼ばれるこの持ち方は、従来、ヨーロッパの軍楽隊(軍隊に属する音楽隊)が、太鼓を左前に吊るしながら行進演奏を行っていたことから必然的に生まれたと言われています。
現在のマーチングバンドや音楽隊では、打面が平行になるマーチングスネアドラムが主流になっているものの、その見た目のよさなどの理由により今でもほとんどの団体がこのトラディショナル・グリップを採用しています。
それ以外にも、オーケストラや吹奏楽の打楽器奏者、ドラマー(特にジャズドラマー)で、こだわってこのグリップを使用しているプレイヤーも多いです。

 

メリット
  • 右と左で強弱や音色の差を付けることで、“フレーズ”や“拍子感”を立体的に演出できる。
  • マッチド・グリップに比べ、楽器の近くに構えることができるので特有の一体感が生まれる。
デメリット
  • スネアドラムもしくはドラムセットに特化したグリップなので、他の楽器に応用できない。
  • 日頃の演奏や練習をトラディショナルで行っていると、マッチド・グリップに戻したときに右手とのバランスがとりにくい場合がある。

 

フレンチ・グリップ | スティックの持ち方

フレンチ・グリップ

 

親指の爪が上にくるグリップです。
ティンパニ奏者がこのような持ち方をすることから「ティンパニ・グリップ」という呼び名もありますが、実際のところティンパニ奏者によってグリップは異なります。

 

フレンチ・グリップの最大の利点は、スティックのバウンドコントロール(フィンガー・コントロール)が容易に行えるところにあります。
親指と人差し指を支点にし、バウンドしたスティックを中指、薬指、小指を使ってうまくはじくことで、細かいフレーズや高速プレイに対応できるのです。

 

メリット
  • 音が暴れにくく、粒を揃えやすい
  • ストローク時に腕全体の重みがスティックに伝わりやすい
デメリット
  • 他の持ち方に比べ、手首の可動域が極端に狭くなる。
  • スナップによる音量調節が難しいため、大音量を出すのには向かない。また、親指と手首がバウンドのストッパーになるため、必要以上に強打するとケガのもとになる。

 

ジャーマン・グリップ | スティックの持ち方

ジャーマン・グリップ

 

手の甲が上にくる持ち方です。
手首をやや内側に回転させ、脇が開き、スティックとスティックの角度は90度に近くなります。
ジャーマン・グリップはクラシックの打楽器奏者に多く、中学校や高校の吹奏楽部などの教育現場においても、この持ち方が取り上げられることがほとんどです。

 

メリット
  • スティックの横ブレが少なく、打点をピンポイントで狙える。
  • スネアドラムの細かいパッセージやPPなど小さい音を繊細に表現しやすい。
デメリット
  • 肩やひじ周りに力が入りやすい。
  • フィンガーコントロールが難しい。

 

アメリカン・グリップ | スティックの持ち方

アメリカン・グリップ

 

音楽ジャンルや楽器の種類を問わず幅広く使われている最も万能性の高いグリップです。
手首角度をフレンチとジャーマンの中間ポジションにすることで2つのグリップの利点を取り入れています。
ドラム初心者の方は、まずこの持ち方を定着させることをお勧めします。

 

メリット
  • 脱力を維持しやすく、手首の可動域も広い。
  • あらゆる打楽器に対して柔軟に対応できる。
デメリット
  • 特になし

 

まとめ

 

ここでは、一般的に用いられている4つのスティックの持ち方を紹介しましたが、必ずしもこのいずれかの持ち方が正しいとは限りません。
一人一人、手の骨格や求める音が異なるように、スティックの持ち方も千差万別に存在するのです。

 

前記の通り、初心者の方はまずはアメリカン・グリップを基本にし、スティックを用いた演奏における肩、肘、手首、指の役割というものを考えながら練習に取り組みましょう。
それぞれの役割を知ることで、“自分の求める音”に応じたスティックの持ち方を場面に応じて変化させることも可能になってくるのです。

 

右の参考動画は手数王こと菅沼孝三氏のドラムソロです。
アメリカン・グリップを基本に曲頭はトラディショナルグリップ、そしてライドやハイハットでトリプルストロークを用いた刻み時にはフレンチ・グリップを用いているのがわかるかと思います。
それぞれのリズムやフレーズに応じて、合理的に叩けるようグリップを変化させているのです。

You Tube

"手数王"菅沼孝三デモ演奏


 

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