ルーディメンツの練習が大事だといわれる3つの理由

ルーディメンツの練習が大事だといわれる3つの理由

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ルーディメンツの練習が大事だといわれる3つの理由

マーチング・スネアはもとより、ドラム・パーカッションの基礎練習においても必ずと言っていいほど取り上げられるルーディメンツ。

 

ここでは、このルーディメンツに注目し、打楽器演奏上におけるその必要性について解説したいと思います。

 

 

ルーディメンツとは?

 

ルーディメンツとは英語で「基本」という意味で、その名の通りスネアドラムの基礎的な奏法を集めたものです。
ただ、集めたと言っても、そのへんのドラム好きのおじさんが闇雲に集めたコレクションではありません。
PASという打楽器芸術協会が、さまざまな種類のフレーズに対して効率的にスティック・コントロールができるように合理的に考え抜いて厳選したものです。
以前までは26のルーディメンツが普及していましたが、現在はもう14つ追加した40つが国際ルーディメンツとして定められています。
40つもあるの?と思う方もいると思いますが、それらを大きく分けると、以下の6種類の奏法から成り立っているのがわかります。

  1. シングルストロークルーディメンツ(1つ打ち)
  2. マルチプルバウンスロールルーディメンツ(クローズロール)
  3. ダブルストロークオープンロールルーディメンツ(2つ打ち系)
  4. ディドルルーディメンツ(パラディドル系)
  5. フラムルーディメンツ(フラム系)
  6. ドラッグルーディメンツ(ドラッグ系)

 

 

ルーディメンツを練習するメリット

 

ルーディメンツを習得しなくてもある程度の演奏はできます。
実際にこれらのテクニックを身に付けずに普段から活動を行っているプロ・ドラマーやドラム講師も少なくないでしょう。
では、なぜここまでルーディメンツの必要性についての話題は多く取り上げられるのでしょうか。
その理由は主に次の3つ

メリット@ ルーディメンツを応用することでより複雑なドラミングが可能になる

 

1つ1つのルーディメンツをマスターすることは新しい武器を手に入れることと似ています。
武器(テクニック)を手に入れることで、今までできなかったドラムパターンや難しいフレーズにも挑戦できるので、レベルアップ、さらにはモチベーションアップにもつながるわけです。
特にダブルストローク(2つ打ち)とディドルルーディメンツ(パラディドルなど)を習得することで演奏表現の幅はそれまでに比べて飛躍的に広がります。

 

ルーディメンツをドラムセットに応用した先駆的な存在でもあるアメリカのジャズ・ドラマー、スティーヴ・ガッドをはじめ、日本が誇るドラマー神保彰や、手数王の呼び名で知られる菅沼孝三も積極的にそれらを演奏スタイルに取り入れ卓越したテクニックを披露しています。
ドラマーの中でも一目置かれる彼らが教則本や教則DVDなどで毎回のようにルーディメンツの重要性について語っているのですから。

メリットA スティック・コントロールの向上につながる

 

ルーディメンツを1つ1つ習得するために練習する過程が大事な部分でもあり、あらゆる観点から意識的に練習に取り組むことでスティックを自在に操ることができる“スティック・コントロール”が身に付くのです。
例えば、初心者の方がいきなり、速いテンポでフラムパラディドルを正確に叩くはできませんよね。
フラムパラディドルを叩くにはシングルパラディドルを習得している必要があり、シングルパラディドルを正確に叩くにはダブルストローク(2つ打ち)を習得済みで3つのストローク(アップ・ダウン・タップストローク)を上手く使い分けるテクニックが必要になってきます。

 

このように、ルーディメンツと向き合うことで自分のフォームやストロークの見直しができ、見つかった弱点を掘り下げて練習・改善して最終的にルーディメンツを仕上げるという一連の作業を行うことで、正確で合理的なスティック・コントロールが身に付くのです。

メリットB 同じフレーズに対して、より効率的・音楽的な叩き方ができるようになる

 

同じリズム・パターンでも手順の違いによってその叩き方は何通りも存在します。
左右交互に叩くシングルストロークだけでなく、ルーディメンツを応用した手順を工夫して取り入れることで、効率的・音楽的な面で都合が良くなる場合が多いのです。
下の譜例をご覧ください。

 

ドラムフレーズにディドルとフラムを取り入れたパターン

 

このようなフレーズパターンを左右交互の手順で演奏しようするとアクセントを際立たせるのがやや難しく、さらに2〜4拍目のどこかしらで右手と左手が交差してしまいます。
しかし、1拍目のはじめの2つをダブル、2〜4拍目のスネアを左手、トムを右手というように分担させることで打面を正確に捉え、アクセントにも集中できるという効果があるので、結果としてフレーズがより立体的になるのが実感できるかと思います。

 

このような考え方はドラムセットに限らず、一人で複数の打楽器を同時に演奏するマルチパーカッションやカホンなどのハンド・パーカッションにも応用できます。

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