打楽器の役割 〜クラシック音楽〜

打楽器の役割 〜クラシック音楽〜

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打楽器の役割 〜クラシック音楽〜

クラシック音楽音楽

 

 

ポピュラー音楽における打楽器(特にドラムセット)の役割は、「一定のテンポのもとで刻まれるリズムの要」であると説明していますが、クラシック音楽の場合、それとは大きく異なります。

 

時間とテンポ

 

クラシック音楽にはテンポ60といった数字で表記されず、「Andante(アンダンテ)※歩くような速さで」や「Allegro(アレグロ)速く、快活に」といったイタリア語で表記されてるものが多いです。
「なぜ、そのようなあいまいな表記なの?歩く速さも人それぞれ違うのに」と思う方もいるでしょう。
理由は単純、メトロノームが発明されたのが1810年で、それまではテンポの速さを数字で表すという概念がなかったからです。

 

19世紀以前に作られた曲は現在においても、指揮者によって曲の速さはかなり違うものが多いです。
また、曲頭から終わりまでテンポが一定なものは少なく、途中で速さが変わったり、だんだん遅くなったり速くなったりというように「ポピュラー音楽」に比べるとテンポという要素においては“あいまい”な部分があります。

 

メトロノームの登場で、音楽も時間で管理される芸術として扱われるようになったのです。
今後は、最近特に進化がみられるデジタル技術の影響で時間に加え、機械に管理される音楽になりつつあります。
実際のところ、一定のテンポを刻むドラムマシーンに合わせて演奏したり踊ったりするスタイルは私が生まれる前から存在しているのですから。

 

 

打楽器奏者の役割と極意

 

クラシック音楽を演奏する団体といえば、まずオーケストラや吹奏楽が挙げられます。
ご存知かと思いますが、オーケストラは主に弦楽器・管楽器・打楽器で構成され、吹奏楽はバイオリン、ヴィオラ、チェロなどの弦楽器はなく主に管楽器と打楽器で構成されます。

 

打楽器の種類に関して、200年ほど前の時代にはティンパニをはじめとした数えるぐらい用いられませんでしたが、今となっては身の回りのものさえ楽器にしてしまうほどその数は無限大です。
それゆえ、現代のクラシック系作曲者は打楽器についてかなりマニアックな領域まで踏み込んできます。

 

さて、打楽器は「ゴ〜〜」と地響きがするぐらいの低い音から「キーン」と突き抜けるような甲高い音まで、実に多彩な音を創ることができます。
例えば、ティンパニでチューバやコントラバスなどと一緒に低音を増強させたり、でアンサンブル全体を包み込むようなシンバル一発で華やかさを引き立たせたり。
あるメロディーとともに奏でられるグロッケンの音は、まるで女性がアクセサリーを身に着けるように旋律にキラキラとした装飾を施してくれますね。
その他にも、雷の音、大砲の音、雨の音、波の音、動物の鳴き声といった効果音的な役割も果たす場合など挙げればキリがないですが。

 

作曲者は打楽器そのものが持つ音の特徴を曲の中で効果的に使い、打楽器奏者はその作曲者の意図を読み取って忠実に再現します。
これが、クラシック音楽における打楽器の役割だと私は思います。
なので、打楽器奏者は楽器の特性を十分把握したうえで、作曲者や自分のイメージ通りに引き出す技術を習得しておく必要があるのです。

 

そして打楽器の役割を担うには、楽器練習は言うまでもなく、曲の背景を知り、“スコアリーディング”などによる曲の場面ごとの効果を考えることが欠かせません。

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